寒冷地仕様車は普通の地域で使っても大丈夫？

日本で販売されているクルマには、国産車を中心として寒冷地仕様というものが設定されています。

これは極度の低温地域、極寒地域で利用する場合にも不具合が起きないようにいくつかの仕様変更がされているクルマのことをいいます。

寒冷地仕様についてはメーカーと車種によってその中身は異なりますが、一般的にはエンジンがかかりやすくするためにバッテリーの容量を大きなものに変更しており、それにあわせてオルターネーター、つまり発電機も大容量のものに変更しているケースが多くなります。

また雪対策用にワイパーのモーターが強化されていたり、ワイパーゴムの停止位置に融雪用の熱線が装備されているクルマもあります。エアコンの外気取り入れ口に雪対策の網が張ってあるケースもあります。

エンジン関係では凍結防止のためにクーラントの濃度を上げているものが殆どで、室内関係でも外気が入り込まないように通常のクルマより念入りにスポンジなどの部材が配置されるようになっています。

ということで、寒冷地で使っても問題ないようにできているものですから、これを関東などの温暖なところに持ってきて利用してもまったく問題は起こりません。

一応、こうしたクルマの場合には寒冷地仕様という表示をして販売しているケースが多いようですが、スキーなどに行かれる方にとっては好都合の仕様であるということが出来そうです。

通常寒冷地仕様は標準車よりも余分な仕様が追加されている分数万円程度高くなっているようですが、中古車ではこうした価格はほとんど吸収されてしまい、あまり違いはなくなっているのが実情です。

実際に寒冷地仕様が販売されているのは東北の積雪地帯や北海道などですので、それほど台数が多いわけではありませんが、最近ではオートオークションが普及していることからこうしたクルマが本土の暖かいエリアで販売されることもあり、思わぬところでこうした仕様車にお目にかかることもあるというわけです。

ドイツ車の本国仕様はほとんどこの寒冷地仕様に近いため、ラジエーターのサイズが小さく、日本に並行輸入で持ち込むと夏場にオーバーヒートしやすいといったことが８０年代にはありましたが、今は正規輸入のクルマが殆どですからそうした心配もなくなりましたし、国産車の場合は寒冷地仕様車を沖縄で利用してもまったく問題は生じない商品となっていますから、安心して日本全国で利用していただいて構わないものといえます。

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最近の車種は寒冷地対応車が多い！

寒冷地仕様の車を気候の温かい場所で運転しても、まったく問題がないことは前述した通りです。では寒冷地仕様ではない車種を寒冷地で運転したら問題が発生するのか?という疑問が残る人もいるはずです。

回答を先に言ってしまうと、極端な極寒地域でない限り、寒冷地仕様でなくても問題は起こらず、走行に影響を及ぼすことはありません。

その理由は、最近の日本車は寒冷地でも問題なく走れるだけの機能を備えているからです。

特にスバル、マツダ、ホンダの全車には寒冷地仕様がありません。各メーカーとも国内販売だけでなくグローバルカーを販売していますが、これらは基本的に国内販売車と同一機能を備えています。

販売先の各国には北海道よりも寒く、日本の夏よりも湿気と暑さを持つ場所もあるので、それらの地域に合わせて仕様を異ならせているとコストがかさんでしまいます。

むしろ、それらの気候すべてに対応できる車種を最初から作ることで、コストダウンが図れると同時に耐久性を上げることができます。

トヨタや日産、その他のメーカーには寒冷地仕様があります。ただし、それらの内容は走行性能に関する仕様ではなく、乗員の快適性や安全性を高めるための装備となっています。

寒冷地で車を使用する際は不凍液やバッテリーに注意！

一例を上げると、トヨタの寒冷地仕様はワイパーが雪で氷結しないようにウインドウガラスの下部、ワイパーが収納される部分に電熱線を入れたウインドシールドデアイサーや排気熱をエンジン暖機に利用するサブマフラー(排気熱回収器)、リアヒーターダクトなどが装備されているだけで、エンジン回りや足回りに変更はありません。これは他のメーカーの寒冷地仕様でも同等です。

ただし、いくら運転に影響を及ぼさないといっても、万全を期した方が安全に運転できるのは間違いありません。特に温暖な地域から寒冷の地域へ引っ越す際、車も一緒に持っていくのであれば、いくつかの注意点が必要です。

最低限やっておきたいのが、エンジン冷却水(LLC)の濃度変更とバッテリーの大型化です。LLCの標準濃度は30％ですが、寒冷地ではLLCが凍ってラジエターを壊してしまう可能性があるので、不凍液の濃度を50％まで高めた方が無難です。

また寒冷地ではエンジン始動時の抵抗が増え、バッテリーの強いパワーが必要になるため、大型化した方が安心です。

さらに強化するのであれば、ワイパーのモーターを大型化してワイパーアームを交換する、寒冷地では凍結防止剤を道路にまくので下回りに防錆防止処置を施す、降雪状態でも視界を確保できるフォグランプなどを装着する、といったポイントがあります。

実際、寒冷地といっても温暖地域で走っている車とまったく変わらない状態で走っている場合が多いので、あまり気にする必要はありません。

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