事故車という言葉を聞いたことのある人は大勢いらっしゃるでしょう。ただ、事故車には、意味が異なる2つの定義が存在します。

ひとつは、「事故したことがあるけれど、今は修理してあるクルマ（修復歴車）」で、もうひとつは「事故した状態のままのクルマ（事故現状車）」です。ここでは、前者の修復歴車について、売買の際の注意点をご紹介していきます。

事故したら、必ず修復歴車ということではない！

前述したように、修復歴車とは、事故したクルマを修理してある状態のクルマを指すのですが、それ以外にも、例えば、修理をせずとも乗り続けられるものの、重要骨格となる部位が曲がったり、少しだけ歪んでいるといった場合も、修復歴車に該当する場合があります。

但し、素人考えでは、ドアをぶつけてへこませてしまった、バックの際にリアバンパーを壁にぶつけて修理した、といったケースで、「小さいとはいえ事故をしたのだから、事故車だろう」と思っている人が非常に多いものです。

確かに、ドアやバンパーを交換していれば、少なくとも新車のときの状態ではないわけですから、修復歴車になると思う人がいても不思議ではありません。

では、実際にはどのように運用されているのでしょうか。これも、前述した内容と関連しますが、重要骨格となる部位でないパーツの交換や板金修理では、修復歴とはみなさないケースが一般的です。（修復歴車に該当するか要チェック！）

修復歴有り無しの線引きが難しいケースもある！

とは言え、どのパーツが重要骨格で、どのパーツが重要骨格でないかという定義は、自動車業界の関係者の間でも意見が分かれています。

例えば、乗用車のリアフェンダー。乗用車の主流となっているモノコック構造を構成する部位にあたるのですが、これを板金修理するだけでは、修復歴車とはみなしません。

また、リアフェンダーを交換した場合も、修復範囲がリアフェンダーだけに留まるような場合には、修復歴とはみなしません。

但し、リアフェンダーとともに、トランク後部にあるバックパネル（エンドパネル）に影響が及んでいる場合は修復歴とみなす場合がありますし、リアフェンダーとともにバックパネルも交換している場合には修復歴車とみなします。

一方で、ルーフまで交換していたり、フロントの事故のダメージが大きく、フロントガラス下にあるバルクヘッド（エンジンルームと室内との隔壁）より前方をすべて交換しているような大掛かりな修復歴車も存在するのに、軽微な衝突の際にできた、フロントフェンダー内側にあるインナーパネル先端の小さな歪みによって、修復歴車とみなされる場合もあります。

このように、走行や安全性に影響を及ぼすような大事故車から、影響がまったくない小事故車まで、一律に修復歴車とみなすのは、ユーザーの車種選択には不利に左右すると言えます。

なぜならば、軽微なダメージで済んでいる小事故車の場合は、走行や安全性能に影響がないわけですから、無事故車と比べて多少なりとも安く買えればお得な買い物ともなり得るからです。

他方、大幅な価値原価が避けられないはずの大事故車が、小事故車のような扱いで高値で取引されるのは、これもユーザーにとっては不利益となる可能性があります。

このように、プロでも解釈や判断の分かれる修復歴車ですが、上手に付き合えば、お得な買い物ともなり得ます。

リアフェンダーは交換すれば修復歴がつく！

リアフェンダーを電柱に擦って大きな擦り傷を作ってしまった、というのはよくあるケースです。

しかし不幸にもリアフェンダー部分をぶつけられて大きく凹んでしまったという場合もあります。

どちらもリアフェンダーを修理することになりますが、板金塗装と交換のどちらになるかによって、修復歴がつきます。

大きな擦り傷や小さな凹みは場所にもよりますが大概は板金塗装で修理できます。

しかしリアドアとの境目が損傷によって複雑な形状になってしまうと板金塗装で完全な修復が望めず、交換しなければなりません。

ここで問題が発生します。

リアフェンダーのある部位はリアクォーターパネルといってルーフやトランク内部などと共にモノコック構造の一部、つまり一体化しているので交換する場合は切断し、新しいクォーターパネルを溶接しなければなりません。

修復歴ありの条件はその車種が持つ強度が修理によって変化してしまった場合に適用されます。

現在、車の溶接技術は格段に向上しており、技術力の確かな修理工場であればリアクォーターパネルの溶接ぐらいで強度が変わることはありませんが、必ずしも技術力の確かな修理工場ばかりではありません。

モノコック部分の溶接は強度が落ちると想定するのが一般的な定説であるため、たとえリアフェンダー部分だけが複雑に損傷していてもリアクォーターパネルを交換すると修復歴になり、査定額は大幅に下がります。

修復歴がつく場合は修理せずに買取業者へ査定依頼する

事故の修理で修復歴がつくのはモノコック構造部分に手が入れられた場合です。

溶接はもちろんのこと、モノコック構造を補強しているフレーム部分の曲がりを矯正しても修復歴がつきます。

逆に、モノコック構造にボルト止めしてある外板部分であれば交換しても修復歴はつきません。

フロントフェンダーや前後のドアといった外板部分、前後のバンパーなどがその部位に当たります。

ただし、ボルト止めの部分だけに損傷を負ったから修復歴がつかないだろうと想定するのは早計です。

モノコック構造はキャビンの乗員を守るために外部からの衝撃をモノコック部分に分散させて吸収します。

たとえフェンダーやドアだけが損傷箇所でも衝撃が大きい場合は全体のモノコックに歪みが出ていたり、損傷部分に近いクロスメンバーやインサイドパネルまで損傷している可能性があります。

モノコック部分まで損傷が見られた場合は修理費は高額になり、しかも修理した後は修復歴がついて査定額が下がります。

損傷した車を修理してまで乗るほどの愛着がない時はむしろ、修理せずに買取業者へ査定依頼した方が収支的には得策です。

大手の買取業者は自社の修理工場があるので事故車でも修理費用を安く済ませることができるため、その分を買取価格に上乗せできるからです。

事故によって損傷した際は修理工場で見積もりを出してもらい、その後、ネットの 一括査定サイトを利用して複数の買取業者に査定依頼してください。

複数業者の出張査定で提示された金額と修理見積もり額を比較すればどちらが有益か明確になります。

あなたに合った売却方法は？

※人気車から不動車まですべての車に価値がありますので、どちらか一方又は両方に一度買取査定をとってみましょう！