査定士による中古車の検査手順

- 執筆者 モータージャーナリスト 金子
(@car_kaneko)
買取業者に査定を依頼すると、査定士により車の「査定」が行われます。
買取業者による査定価格の算出方法で詳しく解説しておりますが、査定価格というのは、車種に応じた「基本価格」に査定士による「加減点」が追加され最終的な査定価格が決定されます。
こちらのページでは、実際に査定士がどのような手順で車を検査し加減点を行っているのか、順番に見ていきたいと思います!
ちなみに検査手順についてはJAAI(日本自動車査定協会)によって標準化されていますので、こちらを参考に解説しております。
実際の検査手順
JAAI(日本自動車査定協会)は標準的な検査手順を以下のように定めています。
買取業者の査定士は、以上の(1)~(7)までの行程を順番に点検していきます。ちなみに点検をする際にはカーチェックシート(JAAIサイト最下部で現物が確認できます。)に点検箇所を記載していきます。もともとは紙でしたが最近ではタブレットを使うケースが多くなっています。
それでは各行程について詳しく解説していきたいと思います^^
(1)1-1:外周一巡
- 全体の傾き・車高
- 塗装の色あせ・変色
- 外板パネル間の隙間・プレスライン
- 全体の印象・劣化具合
- オプション(サンルーフ等)の確認
- 改造箇所の有無・確認

外周を一巡する際には車両全体を確認するとともに、車を査定する場所にふさわしいかどうか、地面の平坦さ明るさ、障害物等の有無も確認します。査定場所にふさわしくない場合は車を移動させたり、夜間では専用のライトを使用したりして改善します。
(1)1-2:書類の確認
- 自動車検査証(車検証)
- 保証書
- 取扱説明書
- メンテナンスノート
- 定期点検整備記録簿
- 自賠責保険症
- リサイクル券

書類の確認では車の所有者や初年度登録、車検証の有効期限、グレード等を確認します。また整備履歴や交換部品、改造箇所の有無も確認します。どれも新車購入時にはついているものです。付属していれば査定価格がUPします。
(2)室内(運転席・内装の状態・装備品など)
- シート・内張り等の劣化具合
- 走行メーターの確認
- オーディオ・ナビ関係
- CD・DVD・MD関係
- サンルーフ
- パワーウィンドウ
- 電動カーテン
- エアバック
- 純正工具類

室内では車検証記載の走行距離とメーター表示の走行距離に信憑性があるか。また、シートや内装のヘタレ具合、装備品の確認と動作状況を確認します。純正オプションがついていればいるほど査定価格UPです。社外品の場合はモノによって異なります。
(3)エンジンルーム
- 車台番号
- ネームプレート
- 冷却水・オイル漏れ等の確認
- エアコンの動作確認
- ABSユニットの確認
- 異音・故障等の確認
- 修理箇所・修復歴の確認
- バッテリーの確認

車検証記載の車台番号とフレームに打刻された車台番号が同一か確認します。ネームプレートを確認することで、型式・モデルコード・カラーコード・エンジン型式等を確認します。またエンジンルーム内の修理は高額になるため、目と耳をつかって故障個所や不具合がないか入念に検査します。
(4)車体前部(フロント)
- パネルのへこみ・ゆがみ・傷のチェック
- 塗装の光沢・へたれ具合の確認
- 板金修理跡の確認
- ナンバープレートの確認
- 灯火類の動作状況
- 下回りの確認

外板パネルのチェックは正面からだけではなく、斜めからみたり実際に手で触れてみてわずかなキズも確認します。また車の事故の約60%はフロント部分の損傷ですので、修復歴等の有無や板金塗装跡など細かくチェックします。
(5)車体側面(サイド)
- パネルのへこみ・ゆがみ・傷のチェック
- 塗装の光沢・へたれ具合の確認
- 板金修理跡の確認
- ドアパネルシーラー跡の確認
- ピラー・溶接跡の確認
- タイヤサイズやタイヤの状態の確認
車の側面から衝撃を受けた場合、ドアパネルやピラーなどを修理しているケースが多いため、実際にドアを全開して、溶接跡や修理跡などを細かくチェックします。またタイヤサイズによっては査定UPします。タイヤの状態は残り溝の残量や正規のものか、偏摩耗はないか、ホイールの状態なども確認します。
(6)車体後部(リア)
- パネルのへこみ・ゆがみ・傷のチェック
- 塗装の光沢・へたれ具合の確認
- 板金修理跡の確認
- ナンバープレートの確認
- 下回りの確認
- トランクルームの確認
- 修復歴の確認
- スペアタイヤの確認
- 灯火類の動作状況
車の事故の約30%は後面(リア)部分の損傷になりますので、トランクルームを開けて修復歴がないか細かくチェックします。またスペアタイヤがあるか、マフラーに穴が開いていないかなども確認します。
(7)ルーフ(パネル及びガラス面)
- ルーフのへこみ・ゆがみ
- ルーフの修復歴
- ルーフの塗装の劣化具合
- 各ガラス面の状態
- サンルーフ等のオプションの有無

ルーフは綺麗なケースが多いですが、特に雹害による修理跡がないか確認します。ガラス面については、飛び石による傷やひび割れ、ワイパーによる擦り傷などを確認します。
以上が実際に査定士が車を査定する際に点検する箇所と、標準的な検査の流れの解説になります。
このように査定士が車を隅々までチェックし、カーチェックシートに記載または入力することで各部の点数を記載し加減点が行われ、最終的な査定価格が決定します。
ちなみに私が自分の車を買取業者に売却する際、私の車を検査した査定士に聞いてみたのですが、もし検査した査定士が修理跡を見抜けず売買契約後に修復歴車だったことが判明したら、実際に査定を行った査定士の責任になるそうです。
よくある買取のトラブルとして、契約後に修復歴車だったことが判明し、所有者に買取額の減額や返金を要求されるケースがありますが、やはり大手のしっかりしたところでは、修復歴を見抜けなかった査定士の責任になるようですね。
修復歴車に該当すると査定価格が一気に下がりますので、査定士も気の抜けないなかなか大変なお仕事だなと思います^^;
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